【映画感想】狂気とサイコの祭りへ『ミッドサマー』(途中からネタバレあり)【86日目】
ようこそ狂気とサイコの祭りへ
『ミッドサマー』感想
監督:アリ・アスター
時間:147分
R15+
予告
前置きと総評(あと怖さレベル)
※どうやらレンタルが本日より開始らしいので書きました。
まだ春の頃だろう。「やばい映画がある」とネットで話題になり、予告映像を見て「やばい!」と思い映画館に向かったことを覚えている。
ちょうどコロナウイルスがやばい? と言われていた時期だ。
正直映画館に行く前、私はビビっていた。ホラー映画なんて全然見ないからだ。
最後に見たのはバイオハザード3の映画で、それすら怖すぎて腕を上げて目を隠しながら見ていたら翌日腕が筋肉痛になったというクソ雑魚エピソードがあるくらいだ。
しかし奇遇にもこの映画を見る際に一緒に来てくれたホラー映画大好き友人のおかげでその後ホラー?映画をちょこちょこ見るようになるきっかけでもあった。
しかも、このミッドサマーの監督『アリ・アスター』は、これまためちゃ怖いと噂の作品『ヘレディタリー 継承』を作った監督と言うことでホラー界隈も賑わっていた。
表紙がすでに怖い
つまりホラークソ雑魚なくせに、いきなりラスボスクラスに怖い作品に挑んでいるのではないかと思い震えが止まらなかった。
が
結論を先に言うと、正直怖くはない
一応気を付けるべき点としてグロはある。しかし、それも永遠に続くわけでなく正直時間で言えば数分、しかも一瞬だ。
予告を見ればわかるように、基本的に一日中明るいので暗闇からドン!みたいのはほとんどない。
スプラッタホラーを期待していたらガッカリするのでそこを期待して見ないほうがいいでしょう。
狂気もサイコも正直自分の妄想したミッドサマーの方が恐ろしかったため結構単調に感じてしまった。
じゃあ、この作品なんだ?何が怖いの?明るい恐怖?バイオ5?
と、いう話になるが……
この映画は怖い映画ではない。
不快な映画なのだ
※これは悪口ではない
そのために人によっては作品とシンクロしてしまいダメになってしまう人もいるらしい。
なので、精神に問題がある(精神心的ストレスがある)のならばオススメしない。
ちなみに……カップルで見に行く人が多かったらしいですよ、この映画。
warning warning warning warning warning warning
この先はネタバレありです。
ネタバレ見たくない人はしてください。
ネタバレあり本編の感想です
ミッドサマーの私の感想はコレ。
やべーカルト集団に依存することでウルトラハッピーになるおはなし
自分からホラー世界に突っ込んでいく
今作主人公ダニーは物語開始のタイミングで家族全員が死亡するという悲劇と恋人クリスチャンとの冷め切っている関係に心理的ストレスを感じています。
特に彼氏クリスチャンは心配もしているがダニーのことをめんどく感じており、友人たちとさっさと別れろなんて話をするほど最高に冷め切った関係が構成されている。
会話と会話の 間 が生々しく嫌な気持ちになる
そんなメンタル限界状態のデニーはクリスチャンの友人ペレの地元ホルガ村でやるミッドサマー(お祭り)に参加することにより今まで精神的に貯めていたストレスを開放していくのです。(+その他2人で)
と、言っても今作は非常に変わっている作品になっています。
例えばですが、ホラーと聞いた時にイメージするものはどんなものでしょうか?
- 殺人鬼に追われて逃げる
- 身近で明らかにおかしい現象が多発する
- 緊迫状態からの仲間割れ
など、まぁそういう感じが多いのではないかな? と私は思っています。
しかし、今作はそういう一般的な怖さは少ないです。
今作ホラー描写の最初のパンチとして使われているのが崖から落ちる老人を全員で見ながらそれを村人全員で悲しむ『儀式』です。
スプラッター的な描写として死んでいなかったの老人の頭をハンマーで潰しますが、それは本来死んでいればやらなくてもいいところ。
これを最初に見た時「村の狂った儀式の犠牲者になる若者たちの話だな」と思いましたがそれは違います。
なぜならば、主人公のダニー以外はホルガ村でこういう儀式を行っていることを知っており大学の課題(論文)で使いたいから積極的に見に行くし関わっていく。
普通なら異常な儀式をやっている村なんて一分一秒いたくないので脱出を考えますが、今作ではそれを行うのは主人公チームとは別にホルガ村に来た人たち(のちに当然死亡)
ダニーとクリスチャンのチームはこのミッドサマーのイベントを自分から体験しにいくのです。
ダニーはめっちゃ帰りたがってるけどね
それでは、何が怖いのか?
というところに帰ろうと思うが、上にも書いたように今作は怖さはない。
しかし、不快なのだ。
たまに流れるBGMは不快。
恋人のクリスチャンとの会話はギスギスしていて不快。
ホルガ村の住人は本心がわからず不快。
その不快は不安につながる。
始まりの儀式のようなグロはいつくるのだろうか?
この村の住人の本性はいつでてくるのか?
そういう絶対の安心が無い中で、比較的平和な祭りが続いていく。
モヤモヤしながら時間だけが流れていくのだ。
しかし、上記のように、主人公は(ダニーのことを気にしないメンツのせいで)逃げることもできない祭りに参加していきます。
そして、祭りに参加することでホルガ村の住民たちと触れていきます。
ホルガ村の住人
このホルガ村の住民の特徴として
- 誰かの喜び・悲しみを村人全員で共有する
- めっちゃ優しい
- とりあえずみんなでやる(飯もみんなで食べる)
などがあり、とにかくめっちゃ気にしてくるのだ。
ダニーのことをみーんな心配してくれるし、今年のメイ・クイーン(5月の女王)を決める大会に参加した際には言葉が通じない人とも心で会話できるようになったりと物凄くダニーのことを気にしてくれる。
優勝して決まったら村の住人じゃないのにしっかりとお祝いしてくれる。
めっちゃ優しいホルガ村の人たち。
それと反転してダニーのことを全然気にしないのが恋人クリスチャンだ。
帰りたいと言っても論文のためダメ。
しかも、ホルガ村の女の子とイチャイチャしている。
しかも友人の論文を盗もうとしたりとか
ダニーのことなんて全然気にしてくれないのだ。
そして明るい空の下続くの祭りの中で一人また一人と村のルールを破り消えていく。
天国のような村ホルガ村
メイ・クイーンに選ばれたダニー。
一方村の女の子に選ばれたクリスチャンはクスリでラリって村の女の人(若いのもおばあさんも)が裸で見守る中で、子孫を残す行為を行う。
その光景は異常、周りの女性が歌を歌ったりもだえる声を出し、おばあさんにケツをたたかれながら行う行為はまさに儀式。
そしてそれを見て泣き叫ぶダニーは、一人ベッドで悲しむ。
けれど、もう一人じゃない。村の女性たちはダニーの周りに集まり一緒に泣いてくれる。
家族が全員死んだ時もホルガ村の祭りの中でも友人たちや彼氏のクリスチャンは助けてくれなかった。
孤独だった。
けど、この村の皆は助けてくれる。
分かってくれる
理解してくれる
共感してくれる
こうして真のメイ・クイーンになったダニーは本作のEDへと向かっていくのであった。
本当に天国か?ホルガ村
本作は何も考えずに見れば本作は非常にわかりやすい作品だ。
ダニーという悲しい女性が、田舎の祭りで知り合った新しい仲間や家族とともに生きるのを決めました。やったね。
でも、それって本当?
まず、本作のタイトルにもなるミッドサマー。90年に一度もお祭りと言っているが。
そもそも本当に90年に一度なの?
作品内でこの村からやってきたペレの両親もたぶんだがラストの儀式に選ばれていると推測できるセリフがある。そう考えるともっと短いスパンで行っている可能性が高い
クスリで楽しい気分にさせて楽しむお祭りが普通?
メイクイーンのダンス大会の際も使っているし、当然だがクリスチャンも使用されている。
明るい祭りの裏でエグい儀式の犠牲者を作成するのが普通?
犠牲者の中には皮を剥がれた人、背骨をツバサのように突き出して殺された人などがいる
そう、このホルガ村。全体的に胡散臭いのだ。
大きなルールにのっとりそのために全員が動いているカルト的な雰囲気。
今作はそういう胡散臭い部分が複数あり
一見全ての苦から解放されハッピーエンドに変わったように思えるが
実際はより深い地獄に落ちていく。
そういう見方ができる。
どういう感想を感じるかは人それぞれですが、カルト的なお祭りを楽しみたい。と思うなら、悪くない作品だと思っています。
すこし退屈な部分はありますが、それも不快感を表すための演出なのでしょう。
【映画感想】狂気とサイコの祭りへ『ミッドサマー』(途中からネタバレあり)【86日目】おわり